2008-01-01から1ヶ月間の記事一覧

日記

気になることがあったので、”ボヴァリー夫人”を本棚の底から引っ張り出して、ペラペラと拾い読みをしてみると、登場人物が、兎に角、いろいろな事を考えたり、思ったり、話したりするので、改めて驚く。 そして、そういう人物が複数いると、ときには嘘をつい…

「雨蛙」志賀直哉

その時彼は何気なく上を見ると、電柱の中程に何か青い物を認めた。何だろう?そう思って直ぐ雨蛙だという事に気附いたが、森の傍で何故こんな柱などに住んでいるのだろうと考えた。雨蛙はその電柱が未だ山で立ち木だった頃、其処から小さい枝が生えていた、…

日記

銀座を通りがかったので、画廊を何軒かのぞいたら、懐かしいといっては失礼に当たるのかもしれないけど、自分が学生時代に観ていたのような作家さんの個展が複数開かれていて、タイムスリップしたような気がした。 年初めということで、シンボリックな作家の…

「レヴィナス入門」熊野純彦

なにもかも消えてしまって、なおたんにある。イリヤの経験は、灯り一つない夜の闇の経験、しかも子どもが経験するそれに似ている、とレヴィナスはいう。 闇に目を凝らし、微かな音に耳をそばだてようとしても、なにも見えずなにも聞こえない。にもかかわらず…

レヴィナス「実存から実存者へ」

あたりいちめんに広がるさけようもない無名の実存のざわめきは、引き裂こうにも引き裂けない。そのことはとりわけ、眠りが私たちの求めをかすめて逃れ去るそんな時に明らかになる。もはや夜通し見張るべきものなどないときに、目覚めている理由など何もない…

日記

主観的には寒い日が続いていて、本当に地球は温暖化しているのだろうかという疑問もわいてくるのだけど、統計をとってみればきっと今年も暖冬だという結論がでるのだろう。 そのくらい感覚はあてにならないものなのだけど、この場合のあてにならなさは、ある…

日記

TVで田中康夫と小沢一郎が対談をしていた。私は事前に知っていたわけでもなく、気がついたときには既に番組も終盤に差し掛かっていたようだった。田中に振られる話題について、あまり応えたくなさそうな調子で応じる小沢一郎が印象的だった。 特別会計の200…

「母の死と新しい母」志賀直哉

病気はだんだんと進んで行った。絶えず頭と胸を氷で冷やした。 これも理由を知らないが、病床はまた座敷から次の間へ移された。で、ニ三日するといよいよ危篤となった。 汐のひくといっしょに逝くものだと話していた。それを聞くと私は最初に母の寝ていた部…