日記

買った覚えもないのにジンクホワイトの顔料が手元にあった。
というかチタニウムホワイトのつもりで水練りしてメディウムを混ぜて、その時点で違和感があったのだけど画面においてみて、何かが決定的にに違うことに気がついた。画面の上での拡がり方や冴えた感じが決定的に違うのだ。
でもって、顔料の瓶のラベルを擦って見て、それでもジンクホワイトということが判らなくて、というかジンクホワイトという色彩については、高校生の頃以降は使ったことがなかったので、ラベルをみても、単にチタニウムではないということ以上の考えが浮かばなくて、やばいな素手で触ってしまったなと、これまた他のホワイトと勘違いして驚いたのだ。
でもって、暫くのこの勘違いは解けなくて、弱っていたのだけど、よく考えてみたら、それはシルバーホワイトのことだよなと気がついて、ではこれは何だということで、その段になってやっとそういう色彩があったということ思い出した、そして自分が使わなくなった理由に思いをめぐらして、何故使うのを禁じられたのかといえば、確かひび割れるからだったかと、そして使用を禁じるために、手のひらを広げさせられ、そこに大きめチューブからひんやりとしていながらズッシリと重量感のある絵の具を、まるまる一チューブ分搾り出されたことがあったということを思い出した。それともアレは、他のことで、たとえば溶き油の使いすぎを戒めるためだったかなと、行為とその意味の対応がわからなくなっているのだけど、もしそうだとすると、そのタイミングで私の絵の具箱にはジンクホワイトはなかったわけで、そこで使われた絵の具はシルバーホワイトだったかもしれないというと、いくらなんでもそんな非常識なことをする人がいる訳もないだろう。
混乱をしてはいるのだけど、現に画面の上に拡がっているこの色彩には捨てがたいものがあるというのもまた事実なわけで、自分の絵が永遠に残るなんてことは考えがたいということもあるし、そもそも私には子供がいないので、自分の描いた絵を子供に押し付けて死ぬという訳にもいかないのだから、何れ自分で産業廃棄物として処分せざるを得ないのだろうというわけで、であるのであればとこの色彩を使ってもいいのではないかと本気で考え出してしまっていたりする。