二十代のころ親しかった知人は中年婦人用の服を着ていた。安くて派手であるという理由であった。ロックミュージックを好んだ彼のライフスタイルと男性としては小柄な彼の身体に合っていたのである。数年前に一山の眼鏡フレームについて相談を入れた眼鏡屋に久しぶりに行ったら紳士用フレームのコーナーに二つ一山のフレームが紛れていた。しかしよくみると華奢でマリクレールと書いてあったりする。主人に話を伺ったところ十年くらい前に造られたもので現在は生産していないとのこと、マリクレールも十年前は男女兼用のフレームを造っていたのだとのこと、暫く眼鏡についてお話を伺っていると、他の店にも電話を入れて一山フレームの在庫を確認してくれたりするのだけど流行りではないらしくて見付ける事が出来ない。割高ではあったのだけど店にあるものを頂くことにする。