総額だけが予め決まった五年計画による長期金利の上昇を抑えるために、政府が日銀をこき使う、あるいはこき使い易くするために日銀法改正を行うという話が、新政権の目玉ということらしい。日銀法の改正によって昭和にタイムスリップなんてことを考えているわけではないと思いたい。

、、これまでアメリカ経済のお話をするなかで、産業という言葉を何度か使いましたけど、ものすごくオーバーに言うと、アメリカの経済学には産業というコンセプトはないんです。、、、まず業界団体というのがほとんどないんです。つまりマーケットがあって、その上に企業がいるんです。極端に言えばそれだけですよね。つまり通商産業省のように、産業(インダストリー)という名のついた役所はアメリカにはないです。デパートメント・オブ・コマース、USトレード・リプリゼンタティブ・・・・。トレードとかコマースとか、そういう概念はありますが、インダストリーとついたところはないんです。それなら、どうして日本にはあるのかと言うと、これは要するに、産業というものを一括リにして発展させなきゃいけないという事情が、後発の日本にはあったからです。・・・(「経済ってそういうことだったのか会議」佐藤雅彦 竹中平蔵

他にも、興味深い考え方がこの本には紹介されていて、「貧困の悪循環」所得が低いと食べていくのがやっと、貯蓄が出来ない、投資が出来ない、経済が発展出来ない。・・・
・・・ソ連が同じような問題に直面したとき、彼らがまず選んだものは鉄だったのです。なぜならば、鉄は産業のコメであるから。鉄を作っておけば、それによって自動車や機械産業もできるはずだ。だからまず鉄を作るべきであると考えたのです。・・・産業には川上と川下という考え方があって、最初に作られるものが川上です。ですから素材は川上です。川上で鉄を作れば、川下で自動車ができるはずだと考える。だから産業というのは川上から前のほうに展開させていきたいということで、「前方連環」の考え方というんです。これを実際にいくつかの国がやっているんですが、歴史的に見て必ずしもうまくいっていない。・・・消費財を最初に作って、それを伸ばしてから徐々に川上に移っていく。これを「後方連環」というんです。後方連環の方がうまくいくんです。・・・

いずれにしても、現下の話は夏の参議院選挙に向けて支持基盤を固めるということ以上のものでもなさそうなので、余計なことにすぎないのだけど。そして竹中平蔵ってその後何をしているのかさえ自分は押さえていなかったりもする。