この時間だと、近所の工場の機械音が一定時間毎に聞こえる。働いている人は若い人から年寄りまで幅広いようで、近所のセブンイレブンは、客脚が途絶えることはない。常時店員は二人以上いてそれなりに忙しそうだ。自分が学生時代バイトをしていたローソンは夜勤は一人だったので、デリバリーの対応中にお客さんが来ると大わらわだった。夜中の客の多くは当時は飲み屋の帰り道の客か、あるいは水商売の女性と送り狼、あるいは水商売の運転手。何らかの理由で昼間の社会から締め出された人たち、日本に居場所を失ってアメリカに私費留学、帰国後やはり社会に居場所を見つけられなくて、夜になると糸の切れた凧のように街を歩き回る年齢不詳の人、家に居場所をなくした老人、老人ホームからの脱獄者、逃亡者、幻覚もち、酒を売っている店だったので店で飲み直して道で眠っている彼らを拾ってきて保護することまで仕事の範囲であった。僕はさながら冬眠に失敗したムーミントロールのように戸惑いながら仕事をした。24時間のサービス業が当たり前になり昼間と同様の人種が歩きまわる今、彼らはどこにいるのだろう。