日記

築30年は余裕で超えそうな2階建ての木造のアパートのコンクリートの塀に開いた隙間のような門に中腰で立ち止まっている栗色の毛髪の女性、ちょうど敷地と道路の境の辺りにいるのだけど、彼女の向いている方向は幾分道路を向いているので、恐らくはアパートから出てこようとしているところなのだろうけど、静止したままでありながら身体はゆっくりと揺れている、よくみると手にはなにやら大きな透明のビニール袋を提げていて、その中にはティッシュペーパーのカラフルな箱が幾つも入ってたりもする。
とりあえず、朝の7時にアパートからティッシュペーパーの箱を山ほどもって何処へ行こうというのか、不審と言わないまでも気にならないわけがない。膝で切りそろえたジーンズに明るい色のティーシャツは清潔そうで、決して悪印象を受けるものでもないのだけど、肌の色は黄色人種のものではなくて、華奢で小柄な白色人種の女性ということになるのか、通り越しざまに顔が見れないものかと思って覗いてしまったのだけど、それが悪かったのか通り越したのちに背後から、怒鳴り声が聞こえてきて、その流暢な日本語に驚いた。
そういえば、最近、”ガイジンの女の人に、カネがないと言って追いかけられた”とか”そのガイジンは酒臭くないのだけどヨタヨタしていた”とか”こわいから交番にいってきた”とかいう噂を聞いたことがあったなと思い出した、背後から怒鳴りつけられるという意味では自分が正に体験したシチュエーションに似ているので連想されたのだ。
この辺もまだ田舎なのだなと思いつつ、不審なガイジンについて話を聞かされたおまわりさんも大変だと思わないこともない。