ロジェによるプーランクピアノ曲集は結構な見つけ物だった。正直プーランクの弦楽曲はナクソスで何枚か聞いて、ベルエポックの多幸症的、機械文明礼賛的な収拾のつかなさが印象にあって、陰気な自分は気後れしてしまう感じがあったのだけど、ピアノ曲は文句なくいいのではないかと、光の中に草木の影が揺れ動くかのような捉えどころのなさというか、サティより上品でドビュッシーにはない繊細さとか未完さがあって、こんなことなら、もっと早くから聴いておくべきだったと思う。