マリリン・クリスペル

新宿の世界堂に行ったついでにDISK-UNIONによったら、マリリン・クリスペルのzurichでのライブの中古が出ていたので購入した。JAZZの中古盤というのは大概において一期一会であって、その機会を逃すと、そのタイトルは入手不可能となることが多くて、恐らくは、もともとプレスする枚数が少ないということなのだろうけど、かといってあんまり真面目につきあっても、自分の人生のもともと有限な時間を使い尽くすことになってしまいしょうがないので、基本的にはそういう場所には、足を運ぶ回数は制限するようにしているのだけど、そうといって、表に出てくる人の顔ぶれは、本当に少数で、消費者としてはそれらだけでは足らないのであり、そもそもがJAZZという音楽に関しては、その特質上、サイボーグの棒高跳び大会をみているような気分になってしまって、困ったものなのである。

意外だったのは値段が1260円したことで、前といっても10年以上前に複数枚買ったときは何れも500円だったので、どうしたことかと思って、ネットで検索をしたら、最近ECMでもCDを出すようになったとのことで邦盤もでているようで、結構ヒットするのである(私の持っているものはLEORECORDSとかいうイギリスあたりのレーベルから出ているものばかり)。更にブログでコメントをしている人までいてそのおかげでクリスペルの年齢が60を超えていることまでわかって吃驚した。
所謂フリージャズとしては、異例なくらいの回数、繰り返して聞いている人だったりするので、微妙に嬉しくなってしまった。

音楽のこういう聴き方がはたしていいのかわからないのだけど、大体、頭の中がこんがらがっているような時や、ストレスで口内炎が出来たり、独り言をぶつぶつと言っているような時、あるいは訳もなく焦燥感に駆り立てられる時などに聴くと、不思議と気分が落ち着いたり、頭がすっきりとするのである。フリージャズや現代曲にはそういう曲も少なからずあり、自分にとっては心の安楽椅子になっていたりもするのである。また、それとは別に、即興演奏というスタイルは、案外と受動的というか女性的な行為なのかもしれないと思わないでもなかったりもする。