雑記

吉田秀和氏がお亡くなりになったとのこと、メインは近代音楽を対象とした批評だと思うのだけど、この人の書いたゴーギャンセザンヌについて書いた文章は、読むところが多くて関心した覚えがある。思うところあって、先ほど、本棚を探したところ、犬の歯形と千切れたページだらけの綴じものと化していてガッカリした。
自分に関しては、もう、そんなものは読むなということなのだろう。

坂田明氏の’20人格’をYouTubeでみかけた、誰かがピアノの即興演奏をするとなりで坂田氏が田中角栄氏のものまねをする、道具立てとしては、ジョン・ケージのチャンスオペレーションに近いものを感じるのだけど、できあがったものは激しい。友達のタモリ氏の芸には、どこか常識人的なテレを感じて楽しめなかったのだけど、坂田氏のものには、在りし日の前衛芸術のもつアイロニカルな性質を想起させるものがあるのだけど、また、弛緩へ転がり堕ちる道も控えているかのよう思われないでもない。また、当時、ジャズマニアが使っていたというダンモなどという言葉自体にも、革命が停滞した近代という時代に対してラジカルであろうとする欲望を感じないこともない、勿論、それが本人達の意識のうちにあったか否かは、別の問題ということになる。