雑記

・肉筆の複製を専門に商っている人がいるとのこと、注文が入ってから制作にはいるので、商品の引き渡しまで、それなりの時間がかかるらしい。リストにはセザンヌとかシスレーとかの近代的な絵も混ざっていて、どの程度の複製であるのか、是非とも見てみたいと気になる。
以前、アメリカで話題になったビドローの仕事は良心的なパロディの範囲での仕事であって、絵の内容も、メディウムも真作とは変えており、逆にそんなものでもたのしめるようになったアメリカ美術の観衆の習熟度を感じさせるものだった。ときにガチの格闘技より、WWEのプロレスの方がエンターテイメントとして洗練されてみえることもあったりするし、勿論、日本にも遊里に粋をみつける哲学者はいて、ある程度普遍的な感性なのだろうとは思うと、言い訳のように能書きをたれてみる。


・最近、貧困率とか階級化とか、嫌な言葉が飛び交っているようなのだけど、新たに発生しつつあるそれを、嘗ての社会にあったそれと混同する言説には注意が必要で、恐らくは地層や更に抽象的な層という比喩があてはまる程、勝ち組、負け組の数は比較できるものではなくて、謂わば殆ど全て人間が貧困で、それに対して神のような富裕者がいるという状況が、自由主義社会にうまれつつあるということが現実ではないのかなとアメリカ人の書いたものを読んでいて思った。最早、自由、博愛、平等などという建て前なぞ通用しない社会があり、当然、文学なぞ誰も感心外、美術はラスベガスのゲームの延長。しかし、そんなことよりも、今現在如何にして眠りに落ち込むかが、自分には切実な問題であるが故に絶望せずに済む。