眠り

 とりあえず、僕の中の魔物は今までとおり眠っており、これからも眼をさますことはないだろうと、専門家に断言されたのは良いことであったと思うのだけど、では駅の通路や本屋の片隅で、僕を座り込ませてしまうこの鬱陶しさはどこからくるのだと、親戚縁者をあたっても、そんなものの飼い主はいないのに、何故僕にだけ取り付いたものかと一抹の不安とともに、処方された薬を服用してみて、実はここのところ眠れていなかったのだ、正確には眠りのなかにおいてさえもくつろぎをなくしていたのだということに気がついた、しかしいつからこんな状態であったのかがまったくわからない。それにしても、リスミーの助けを借りてみて、眠りというのはなんて気持ちのいい時間なんだろうと改めて知った。
 、、、余計な考えとして美は副交感神経に働きかけ、崇高は交換神経に働きかけるものではなかっただろうか。
 ついでに訊かれた、いつからテレビをみていないか という質問にも応えることができなかったのだけど、それ以前に何故、僕がテレビを見ていないことをこの人は知っているのだということもまた不思議だったりする。