日記

特にみたい絵というわけではないのだけど、MOTは金曜日は9時まで開館していると、どこかのHPで見かけたので、行ってみたらMOTに6時半頃に着いた。しかし既に閉館してしまった後のようで、門は閉ざされて、鎖がかかっていたように思う。門のそとから建物のなかを伺うと、書籍売り場のあたりにはまだ電灯が点っており橙色の光のなかを売れ動く人影が見えた。随分と久しぶりのMOTだったので少し残念だった。
木場公園のなかを傘をさして歩いていると、子供用の滑り台とアスレチックスコースが組み合わさったような遊具の前に自転車が停めてあって、どこからか人の声が聞こえたのであたりを見渡したのだけれども人は見当たらない。滑り台の上部に屋根のついた箱状の部分があるので、恐らくは小さな箱のなかで小学生が、雨によって世界から隔絶されたことに小さな箱がノアの船になったかの空想に胸をふくらませているのだろうと思いながら通り過ぎ、水のない池の傍の屋根のある休憩場の椅子に腰をかけて、雨の弱まるのを待ちながら、自分の来た方向を振り向いたところ、滑り台から降りてきたのは高校の制服を着た男女だった。二人ははしゃぎながら傘をさして、ふらつく自転車にのって公園の奥に向かってはしっていった。


デューヴ『芸術の名のもとに』という本は読み落としてしまっていて、出版された当初、本屋で手にとってみたのは覚えている、たしかどっかの雑誌に文章が翻訳されていた人だったので気になったのだと思うのだけど、自分があえて目を瞑っている事象についてかかれた物であろうと勝手に決め付けていたということもあったのかもしれない。自分の生の時間は有限なのだから、情報は選択しなければいけないと思いながらも、その限られた時間さえ余らせることになりはしないかと、酒場において聞いた”芸術は短く、人生は長し”という冗談の中に思わないこともないようになっているのは皮肉と言えば皮肉である。