「スタンツェ」ジョルジョ・アガンベン

nuj-a2008-05-18


とりあえず、最後まで字面を追うことが出来たのは、本文の巻末にサントヴィクトワール山の絵の写真が入っていたからであるのだけど、ある時代の熱狂(?)の帰結として、以下をメモ。
勿論、その後の美術における映像の流行を声に例えるというのは問題の矮小化であるとは思う。しかし、抽象絵画に対する写真という構図、これとて誰かが何か書いている筈だろうという思いもあり、そうであれば読んでみたいものではあったりする。

エクリチュールシニフィアン形而上学は、声とシニフィエ形而上学の裏返しにすぎない。それは、形而上学のネガティブな基礎を明るみにに出したのであって、それを凌駕したのではない。近代の記号論形而上学的な遺産をあばきだすことはできるとしても、それでは一体、ついに差異から解放されて、仕切りのない純粋でオープンな場となった現前とは何であるかを言うことはできないままなのである。われわれにできることは、意味作用(オイディプス的な抑圧のため妨げられている)に抗する壁の中に、言語の原初的な状態、つまり「永遠にネガティブな差異の網」を再認識することである。”

ちなみにこの本が書かれたのは1993年。