憂鬱か腹に積もり背に乗った、危機感が億劫感に勝り書を捨てて街に出たものの、行きたい場所が見つからす図書館に突入した。ユージン・スミスの“水俣”を見つけた。思っていたよりもフェアな内容で、一概にチッソやら三木武夫環境庁長官が悪玉菌とされているのではなく、炎天下の中に放り出されて判断を煽られたような気分にさせられる。無機水銀が有機水銀に変質するということが分からなかったと、正確には海中の微生物が変質させるらしい。スミスの関心はどこまでも人間にあり、事件を取り巻く様々な人々、患者からチッソの警備員、長官までも被写体にしていて、写真集がさながら世界の縮減模型のように見えたりする。
そうそうチッソは千葉県の五井にも工場を持っていたのかな、写真を撮りに五井に行けば少しは痩せるかもしれない、命がけにはならないにしても。