ベーコンの回顧展が東近で予定されているとのこと、30年前にも東近で大規模な展覧会があった。美術研究所で講師が夏休みにどんな絵を観た?と一人づつ訊いていき、ほぼ全員がベーコン、独りだけコローと応えた。自分もベーコンだった。もしかしたら、シーレと応えた人もいたかもしれない。尚、この時コローと答えた一人は、美術ブロパーではなく、教育学部系の学校へ進路を修正した。講師はベーコンの真価は哲学的なものなので、造形としてはあまり参考にはするなと諭した。テレビでは大江健三郎がベーコンについて語っていた。つまらないことをよく覚えているものだと思う。しかし、この記憶とて思い違いに満ちている可能性もおおいにあり、想起される度に作り変えられていると考えるのが本当なのだろう。