日記

西洋美術館のサム・フランシスの絵は、もともとあのような作品なのだろうかというのが気になっていて、制作年代が50年代ごろであれば、フランスに行ったりしているころで、後ほどの作品のように平板になっていない絵を未だ描いている時期であったりもするのではないかと思っているのだけど、あの絵をみると、こんな筈ではないと現実を受け入れるのを拒否したくなったりする。

そもそも思い込みが前提にあって、その思い込みを形成したのは、みすず書房が出版していた古い画集であって、これの印刷は妙にざらついていて、ハッキリと言ってよくないのであるのだけど、二十代に入ったばかりのころ古本屋で見つけて随分と興奮したのである。

でもって、怪しい絵の具を使ったのではないかとか、助手が変な油をまぜたのではないかとか邪推しているのだ。